緊密な根管充填をする方法

point 根管のテーパーと適切なサイズのスプレッダーの選択

 

術式

①マスターポイントの選択

 最終拡大ファイルより太いサイズ(ファイリング操作で拡がってしまう)

②シーラー塗布

 最終拡大ファイル-1サイズのファイルにシーラー少量付着、逆回転

③マスターポイント挿入

 先端にシーラー少量付着(内部の空気を押し出すように)

④スプレッダーによる圧接・撤去

 マスターポイントを指で押さえて小刻みに反復回転

⑤アクセサリーポイントの挿入

⑥スプレッダーの圧接とアクセサリーポイントの挿入

 スプレッダー先端をガーゼで清拭(滑りが悪くなるから)

 撤去後のスプレッダーにシーラー付着していない=根管内のシーラー不足

 →アクセサリーポイントの先端にシーラー付着し補給する

⑦ガッタパーチャーポイントの切断

 

※歯根破折予防

 スプレッダーの挿入:根管の先端1mm手前までにとどめる

 

歯内治療学 第4版

根管数と頻度

上顎第一大臼歯:MB2根の存在;45%

MB2が根管性完全分岐根管:57.3%

上顎第二大臼歯は37.5%というデータもある。口蓋根が2根管のこともある。

 

上顎第二小臼歯:2根管;50%

 

上顎第一小臼歯:

1根(59%) 2根管;80% 1根管;18% 3根管;2%

2根(41%) 2根管(100%)

 Weine の分類

 タイプ3( 2 根で2 根管が独立)>タイプ2(2 根管が根尖部で合流する )

3根(1%) 3根管(100%)

 歯根幅径≒歯冠幅径;3根の可能性が高い

 

上顎側切歯:1根管;90%

根尖5mm付近での唇側方向への湾曲が多い。

細いファイルを入れた時の根管の抵抗は、根管の狭窄ではなく湾曲である場合が多いので、無理な拡大はトランスポーテーションのもとになる。

 

下顎第二大臼歯:樋状根;30%
頬側で近心根と遠心根が癒合

舌側には陥凹

根尖は舌側へ湾曲

 

下顎第一大臼歯:4根管(遠心舌側根);25%

4根管目を見逃さないため、髄腔開拡の形態は三角形より長方形の方が適していると思われる。
MM根;10%、MD根はさらに少ない。
(通常は近心2根管。その真ん中にもう1根管MM根が存在する場合がある)

 

下顎第一小臼歯:2根管;20%

咬頭直下からバー挿入

 

下顎側切歯:2根管;34%

多くの根管は扁平な1根管あるいは2根管。

窩洞外形は長楕円形(髄腔の形態と舌側に第2根管が存在する場合がある)

 

コンドウ歯科HP

根管処置のゴール

根管処置の終末点

→生理学的根尖孔

 

①う蝕除去

 

②髄腔開拡

どこを狙っているか?

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上顎大臼歯 口蓋根管

下顎大臼歯 遠心根管

 根の形の相似形 中心を狙う

 

③天蓋除去と根管口の確認

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検査 有鈎探針

ラウンドバー:掻き上げ操作

スチールバー:側面を用いた切削

※髄床底は天蓋よりも暗い色調を示すことを指標にする

 

④ろう斗状拡大

 CAP3(無注水)(モード:ENDO)(パワー:5)

ストレートアクセスラインの形成

 ファイル挿入して確認

 

⑤穿通

 Cファイル(こし強い・太さは#10と同じ)・#10・#12がずぼずぼ入る

 90°以上はリーミングしない

 

⑥根管長測定

 #15で根管長測定

 測定値-0.5~1.0mm

生理学的根尖孔(=根尖狭窄部):歯周組織の創傷面積や根管充填材の歯周組織への接触面積が最小、過剰な根管充填が避けられる

 

⑦根管拡大

 ルーティー(注水)(モード:ENDO)(パワー:1)

 #25・#30・#35・#40で根管拡大

根管清掃のゴール

⑴最初に抵抗を感じたサイズから2~3サイズ拡大

⑵ファイル先端への白い象牙質削片の付着

⑶洗浄液が汚れていないこと

 

手用ファイル操作

⑴根管内を洗浄液で濡らす

⑵強い力を加えない

⑶進みづらい時は前のサイズに戻る

⑷器具交換の度に根管洗浄

⑸刃部をアル綿で拭う

⑹プレカーブの付与

 

ステップバック法:彎曲根管の根尖部の直線化を避けることを主眼に考案された方法

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最初に抵抗を感じた号数から1~2サイズアップ(=MAF マスターアピカルファイル)

 サイズアップ(作業長より短い)↔MAF(作業長)の操作(根管の目詰まり予防)

 

レッジ、ジップ、穿孔の予防

⑴ろう斗状拡大後に根尖部を形成する

⑵ファイリング主体

⑶プレカーブの付与

⑷ステップバック法やクラウンダウン法

⑸過度に根尖部を太くしない

⑹Ni-Tiファイルの使用

 

⑧洗浄

 ケンミックス(抗菌作用・有機質溶解作用)・EDTA(無機質溶解作用(スミヤー層除去))

 ルーティー(無注水)(モード:ENDO)(パワー:1)

 

⑨貼薬

 水酸化カルシウム(抗菌作用(強アルカリ性)・抗炎症作用(リポ多糖の加水分解))

 ルーティー(無注水)(モード:ENDO)(パワー:1)

 

⑩仮封

 キャビトン

 

歯内治療学 第4版

パーフォレーションの予防法

①根管探索時のエラー

予防法

⑴髄質開拡

レントゲン写真から天蓋までの距離を確認する

⑵天蓋除去

バーを引く操作

⑶根管拡大

プレカーブ付与

90°以下回転操作

 

②ポスト形成時のエラー

予防法

低速コントラの使用

 

※彎曲根管では サイズの小さいピーソーリーマーを使用が特に重要

※ガッタパーチャーの除去 プラガーで加熱して行う